電子の励起や電気伝導性

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その電子の励起や電気伝導性について述べます。

電子の励起

電子は熱や光からエネルギーを貰うことで、元よりも高い位置へと励起(excitation)します。

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金属の場合、フェルミ準位(Fermi level)付近の電子がそれより上に続く空の軌道へと励起され、励起電子(e-, excited electron)と正孔(h+, hole)が生成します。また、温度を上げても励起する電子の数はあまり増えません。

半導体(semiconductor)の場合、価電子帯(valence band, VB)の上部の電子がエネルギーを貰い、伝導帯(conduction band, VB)の下部へ励起されることで励起電子と正孔が生成します。また、温度を上げることで励起する電子の数は増加します。

絶縁体(insulator)の場合はバンドギャップが非常に大きく、電子励起が室温程度では起きません。

電気伝導性

金属は電気をよく通します。一方で絶縁体は電気をほとんど通しません。そして半導体は電気をあまり通しませんが、絶縁体よりは通します。

電子はエネルギーを貰うことで励起するということは先に述べました。電流が流れるということは、電子が加えられた電場により加速され、電子の流れが生じるということです。ここで言う電子は不対電子を指し、先に述べた励起電子はこれに当てはまります。

つまり、ナトリウム(Na)等の金属のように電気をよく通すには、バンド(band)の一部が満たされもう一部が空であることが望ましいということが言えます。

半導体の場合は価電子帯がナトリウム等とは違い電子で満たされているためバンドギャップ(band gap)を超えて電子が励起する必要があります。そのため励起は金属よりは困難であり、電気を通しにくいと言えます。

絶縁体は半導体よりもさらに電子が励起しにくく、電気を通さないと言えます。

多くの有機化合物が絶縁体なのは、それらが分子性結晶を形成し分子間の軌道の相互作用が無いため、バンドが形成されないからだと考えられます。

温度依存性

金属では温度が上昇しても励起する電子数は大きくは変わりません。しかしながら、温度の上昇に伴い格子振動が激しくなることで電子が散乱されるため電気伝導性は低下します。一方、半導体では温度を上げると励起する電子数は増加しますので、電気伝導性は向上します。

以上が電子励起と電気伝導性に関する簡単な説明になります。